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2015年6月18日付 産経新聞 「【京大病院汚職】 沈黙守る『象牙の塔』 記者会見なし、コメントもなし」記事内に、弁護士片田真志のコメントが掲載されました

2015.06.18

メディア掲載

研究機材購入をめぐり、京都大病院の元准教授、丸井晃容疑者(47)が収賄容疑で逮捕された事件で、汚職の舞台となった京大が沈黙を続けている。元准教授の逮捕以降、記者会見やコメントの発表はなく、17日に記者との懇談にのぞんだ山極寿一総長も「大変遺憾」と述べるのがやっと。大学病院などを舞台にした贈収賄事件は後を絶たない。抜本的改革に乗り出そうという大学側の姿勢がなければ、再発防止への道程も険しそうだ。

会見なし 内部から対応に批判も

17日午後に開かれた山極総長と報道陣との定例懇談会。「説明責任を果たすべきでは」と迫る報道陣に、総長は「調査委の結果が出るまで見解は言えない」などと繰り返した。結果を出す時期について大学側は「なるべく早く」と述べるにとどめた。

京大病院は、逮捕前の11日には警察からの連絡で贈収賄疑惑を把握。院内に調査委員会も設置していたが、公表してこなかった。逮捕後も、京大広報課は当初、「京大病院で対応を一本化している」と取材を受け付けず、当の京大病院も「個人のことなので言えない」と押し通し、記者会見すら開かなかった。ある京大病院関係者は「組織的な事件と思われたくないのかもしれないが、記者会見も開かないのには違和感を覚える。 何か隠しているのではないかと疑われてしまう」と上層部の対応を批判した。

他の大学病院でも、これまでに贈収賄事件が

大学病院が舞台となった贈収賄事件はこれまでに何度も起きている。

平成4年には、心臓の治療用ペースメーカーの納入をめぐり、賄賂を受け取っていたとして、東大病院の助教授らが逮捕。昨年12月にも徳島大病院で、情報システム業務の受注をめぐり、収賄容疑で当時の大学の情報センター部長が逮捕された。

専門性の高い医療機器などは、外部から購入の妥当性をチェックするのが難しいため、汚職の温床になると指摘されてきた。

今回は、機器納入の実権を握る丸井容疑者に業者側が接近。容疑者や業者の担当者以外に、研究に必要な機器の細かい仕様などを把握していた人はほとんどいなかったといい、チェック機能は働かなかった。

絶大な医師の力

医療現場で医師が持つ絶大な力が、問題の根底にあるのではないかと指摘する関係者もいる。

ある医療機器販売会社の社員は、「大学の事務方に機器納入の決定権がある場合でも、医師の口添えがあるかどうかが契約の成否を分ける」と打ち明ける。

特有の閉鎖社会が作り出す利権の構造。繰り返される事件を防ぐには、どうしたらよいのか。贈収賄事件に詳しい元裁判官の片田真志弁護士は「決定権を持つ人を定期的に替えたり、複数体制にしたりすることが癒着を防ぐ手立てになるのではないか」と指摘している。

(産経新聞)

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